本当の声

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退院した僕は自宅で検査結果を待つことになった でも僕の心の中で答えが決まっていた 法医学をやめて実家に帰ると 家にある荷物を片付ける 「…あっ」 ベッドを片付けてる時に見つけてしまった 羽井君のネックレス きっと最後に来た時に忘れていったんだ 「…うっ」 思い出してはいけないことが次々浮かぶ 初めから乱暴でよく胸ぐら捕まれたな 着信無視しようとしてバレて怒られた時もあったな 作ってくれた料理美味しかった 思い出す度ボロボロと流れる涙 どうしても止まらず気づけばうずくまって泣いていた 「は…ないく…」 呼んでも届かない名前を口にしてはまた涙を流す その時 インターホンが僕を呼んだ 何度も何度も うるさい僕は泣いていたいんだ 放っといて帰れ しかしインターホンを鳴らす人は僕の意志など知らないふりで 次はドアを乱暴に叩き始めた もしかして自殺したと思われてる? なんてあり得ない事を考えつつ これでは警察を呼ばれるかもと思い ドアを開ける 開けた瞬間 僕は温もりに包まれた
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