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「お疲れ様です」
そう、誰かが言った声で我にかえった。
「お疲れ様です」
一人一人に頭を下げ、ゆっくりとした足取りでこちらまでやってきて、先程と同じ言葉を口にして頭を下げてきた。
「お疲れ様です」
微笑みながら頭を下げ、歩いて行く背中を見送った。
溜め息をついて、右手で額を抑えた。
「シオンさん大丈夫ですか?」
手を下ろして声のする方を見れば、撮影に使ったセットを片付けているスタッフが目についた。
「少し抜けます」
セットを片付けているスタッフ達にそう言うと、
「わかりました」
その返事を聞いて一人のスタッフがこちらに駆け寄って来た。
もしこれが新人だったら許されない事だろう。
経験があるベテランだからこそ出来る事だ。
「大丈夫ですか?」
お世辞でも若いと言えない、目の前にいる女性は、また、大丈夫ですか? と繰り返した。
「あぁ、大丈夫だよ。少しぼーっとしてて……」
苦笑して、小さく笑うと、疲れてるのかもしれませんね、最近忙しそうでしたから、と続けて言った。
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