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「僕だってナスカを助けに行きたいよ? でも……」
グランが何かに恐れているのか口ごもる。
「でもなんだよ?」
グランの前に行き、両肩を手で掴み揺すりながら問いただす。
「僕はリアラを責めて殺しかけたんだ。そんな僕と旅をしたい? それに僕が旅をしたいのはナスカを助けたいだけじゃあないんだよ」
グランはそう言い切るとリアラの手をほどき、窓側まで歩き夜空を見上げた。
それから重々しい空気が流れ、それを変えようとリアラが口を開く。
「ナスカを助けたいだけでではないと言うと? どういうことだよ? わかるように説明しろ!」
「2年前、僕の母さんもミストレスにさらわれたんだ。ナスカと同じように。僕は強くないから一人で助けに行くこともできずにこの様さ。前に勇者団を結成しようと言ったのは母さんを探したいからなんだ」
グランが自分の過去をリアラに話たのは初めてだ。そんな過去があった事を知らなかったリアラはどう言葉を返せばいいかわからずにいた。
「じゃあ……じゃあ、ナスカとグランの母さんを一緒にさがそうぜ。そうしたら二人の利害は一致するだろ?」
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