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洞窟の中は暗くいくつもの道に別れていた。
この暗い中ではグランの杖の明かりだけがぽつんと光っている。
だが、出口までの道はわかりやすく商人達の努力の甲斐あって壁には印しが刻み込まれており迷いなく進むことができた。
ところが、洞窟の半ばにたどり着いたとき二人に衝撃が走る。
地面に亀裂がはいり飛び越える事さえできそうにない。少しの間迷った二人だが他の道を探すことにした。
来た道を少し戻ると筋道があり奥へと進む。
「ねぇ、リアラ」
グランが服の袖で額の汗を拭いながら言う。服は汗でびっしょりだ。
「何だ?」
怠そうに聞き返す。
「暑い。この道に来てから暑さが尋常じゃないよね……」
「そうだな……。温泉でもあるのんだろうな」
冗談混じりでリアラが言ってもグランには笑う気力がなかった。
「明かりが見えるよ!」
二人は明かりを目印に歩く。
しかしそれは太陽の光ではなく炎の明るさだった。
「フォッグレス?」
二人の目の前には全身炎で覆い尽くされたフォッグレスが現れた。
「人間か」
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