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授業と授業の合間
喧騒で満たされる廊下に
「ヤッ…」
バチン
と何かをたたく音が響いた。
と同時に「ウッ」と言う空気が肺から漏れる音
「ほ~い」
一貫は衝撃のした方へ顔を向ける。
体は細身の割に線がしっかりとしており。人として完成された、しかし幼い笑顔を浮かべる男の顔がそこにあった。
「カズちゃんは今日もう学校終わり?」
せき込みながら恨めしげに視線を送る一貫。
「先崎…。なんのよう…?」
「いやいや、こんなはや~い時間に大学を去ってしまう友人にわかれの挨拶を…ネッ!?
いや…ごめんなさい…そんな目で見ないで」
一貫は非難するような眼差しを向けるのを止めた。
「まぁ今日は必修の為だけに来たから」
「ふ~ん?飯は?」
「昨日のカレーが」
「カレーッ!?」
「あげないぞ?」
「残念ながらそのフリには答えられないのだよ」
「やっ…フリじゃない」
「俺この後すぐ授業だし既に出席ヤバいし」
「まぁ7月だし…そんな人ごまんといるだろうな」
「カズちゃん明日授業は!?」
「午後まであるけど」
「そっかッ!!じゃあ飯は明日食べよう!」
「既に規定事項なんだ」
不意に鳴り響くチャイム
「ヤバッ!出席がッ!」
そう言ってきびすを返す先崎。
「じゃあ明日ね!メールするから!じゃあねカズちゃん!」
先崎はそう言って駆けていってしまった。
一貫は取り残された場所で
「相変わらず嵐みたいだ」
ひとりごちる。
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