話が違うと言いたかった

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「それじゃ、僕はとりあえず寝ますわ。 明日は早くに出かけるつもりですし」 立ち上がり、彼の部屋と決めた一階の洋室に向かう佑士。 ふと立ち止まり、ふりかえる。 「隆さん」 そういえば、俺は下の名前で呼ばれるのは久しぶりだ。 前に呼んだのは、兄だったろうか。 「…何?」 「えーと、隆さんみたいなかわいい人と一緒に暮らせるなんて、僕めっちゃうれしいすよ。 …おやすみなさい」 言いながらそのほほが赤くなっていくのが見えた。 きびすを返しそそくさと部屋に入っていく佑士を見送って、俺は自分のほほが熱を帯びているような気がした。 壁にかけられた古い鏡を見ると、俺の頬も佑士と同じように赤くなっていた。 …かわいい?俺が?
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