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…いつも通り終わらせて厨房に戻る。結果は歴然。ここ数ヵ月ずっとやって来たんだ、負けるはずもない。
あからさまに悔しそうにするあの人を見て、思わずにやけてしまった…
少し時間が過ぎ朝礼が始まった。
料理長『え~今日から中国人研修生が【如月】にきます。夕方まで厨房の盛り付け等を手伝わせるので、みな丁寧におしえなさい。』
一同『はいっ‼』
料理長『じゃぁ入って。』そういうと研修生が入ってきた。人事部の人の後ろに四人。あと通訳さんらしき人が一人。
(あの通訳さんかわいいなぁ…)そんなことを考えながら見ていると、自己紹介がはじまった。
袁(エン)さん・了(リョウ)さん・櫓(ロ)さん、と紹介が続き、
逞『逞雪姜です。日本の文化を学び、出来るだけ早く慣れて行きたいです。よろしくお願いします。』
(あの人だけ日本語うまいなぁ…)と思いながらも目は通訳さんらしき人にくぎ付け。
料理長『では最後に。』
(えっ?)
珊珊『蘇珊珊です。よろしくお願いします。』
そう。
その人は通訳さんなんかではなく、れっきとした中国人研修生だった。驚きのあまり目を離せなかった…
視線を感じたのか、珊珊と目があった。
その時からだろう…
僕と彼女の中にはほんの少しだけ、何かが燻った。
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