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20XX年12月23日
20:39 ~総合体育館~
師範「お互いに、礼!・・・、はじめい!」
師範代の大きな掛け声で組み手の始まりを告げる。
大「っしゃーすっ!」
大は師範代の声に応えるかの様な勢いで声を貼り立たせる。
大は全日本空手道の初段を持ち、成績もなかなかのものだ。
大きな、しかし落ち着いた柔らかなステップで相手の隙を狙う。
相手も有段者である以上、そう隙をみせない。
しかし大は煽るかのように相手の構えている手を左足で「パンっ!」と蹴る。
その時!
相手が大の崩れたフォームを狙い、射程圏内に入った。
・・・いやっ、大のテリトリーに入った。
残った右足で大はおもいっきり地面を蹴り、右膝で相手のメンホウ(頭部防具)にカウンターを取った。
これでは点が入らないので構えていた手で相手の肩を押し、1メートル離れた時にたたんでいた右足をいっきに伸ばし、上段蹴りを入れた。
師範「赤、上段蹴り一本!」
この場にいた同じ道場の者は一斉に歓喜した!
上段蹴りとは点とるのと一緒にその場が盛り上がる技だ。
この日は違う道場との対抗試合だったのだ。
その日の帰り道に・・・、
大「今日の試合見た!?上段蹴りの一本だぜぇ!そう易々出せるもんじゃねぇよ!」っと興奮気味に話している大をよそに貴が、
貴「んなもん俺でも出来るよ!」
っと冗談を交えながら言う貴。
大「お前解ってない!あれはなぁ、・・・・・・・・・」
と冗談を本気にし空手の話をしだす大。
貴「は~いはい(笑)」
などと言って適当にごまかしを入れる。
そんなことをしながら夜の帰り道を楽しむ二人。
こんな日々がいつまでも続いて欲しいと思う20歳の男達の今日この頃・・・。
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