変身

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蛇口をひねり顔を荒々しく洗うと、そのまま歯磨きへ。 右の奥歯を磨いているときに初めて正面の鏡を覗いたが、またすぐに下をむく。 3秒くらい経って、また鏡を覗いた。 歯ブラシを持った左手が機械的に動いている。 「ド」が付くほどの近眼なので、視界はぼやけていたが、鏡には確かに俺の顔が写っていた。 だけどその顔は、俺の知っている俺の顔とはちょっと違う・・・ような気がする。 どうやら脳みそのほうもまだ睡眠中らしい。再び下を向いて歯磨きを再開した。 口をゆすいでタオルを取りに布団の位置まで戻る。 カーテンを開け、ベランダに干してあるタオルから乾いているものを1枚選んだ。日差しが眩しい。 顔を拭きながら風呂場へ戻ると、洗面台の脇に立て掛けている電動ひげ剃りを手に取り、スイッチを入れる。 下顎に電動ひげ剃りを押し当てながら、顔を上げた。
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