1182人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
蛇口をひねり顔を荒々しく洗うと、そのまま歯磨きへ。
右の奥歯を磨いているときに初めて正面の鏡を覗いたが、またすぐに下をむく。
3秒くらい経って、また鏡を覗いた。
歯ブラシを持った左手が機械的に動いている。
「ド」が付くほどの近眼なので、視界はぼやけていたが、鏡には確かに俺の顔が写っていた。
だけどその顔は、俺の知っている俺の顔とはちょっと違う・・・ような気がする。
どうやら脳みそのほうもまだ睡眠中らしい。再び下を向いて歯磨きを再開した。
口をゆすいでタオルを取りに布団の位置まで戻る。
カーテンを開け、ベランダに干してあるタオルから乾いているものを1枚選んだ。日差しが眩しい。
顔を拭きながら風呂場へ戻ると、洗面台の脇に立て掛けている電動ひげ剃りを手に取り、スイッチを入れる。
下顎に電動ひげ剃りを押し当てながら、顔を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!