NewChapter―Ⅱ†鼓動…

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  「じゃあな」 そのような事を言われた気がする。 でも、一体どういう意味なのか理解出来ない。 そもそも、今の私は動く事が出来ない。 目の前で起きた事なのに信じられなかった…… それは余りにも衝撃的だった…… 突然、ヴィンセントの残っていた腕がストンと落ちた。何の前触れも無く。 それだけでも充分衝撃的だったけれど、私をいまだに硬直させているのは、その後に起こった事が原因。 断面から噴き出したのは深紅の血。じゃない。 噴き出したのはなんとエメラルド色に輝く0と1。 無数に飛び出したソレは、瞬く間にヴィンセントの腕を元通りにしてしまった。 気が付いた時、ヴィンセントはすでに部屋にはいなかった。 私が硬直していたのは本の一瞬の筈。 普通に考えれば、扉を開けて廊下を歩けば簡単にヴィンセントに会える。 けれど、その時私は何故か分からないけれど、とても嫌な予感……とでも言うべき何かを感じた。 それはまるで、今会わなければ、二度と会えないのでは? と、私に囁く気がした。 だから、私は走った。 ──…… 「はッはッ…はァ。 ヴィンセント―――!」 まだ体力が回復していないらしく、急に走ったせいか肺が酸素を求めて激しく抗議していても、私は心の底から叫んだ。 でも、返事は……無かった……    
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