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「にょほほほな~んて、実はあッしでした~」
「うし、ずく……さん?」
私の肩を叩いたのは紛れもなくウシズクさん。
でも、その声は間違い無くヴィンセントのもの。
「“声寄せ”って言いやしてね、スパイにはこんな技術も必要なんッスよ」
「は、はぁ」
相変わらずヴィンセントの声でウシズクさんが喋る。
なんだか変な感じ。
「……さて、ティセラさんも泣き止んでくれたことですし、そろそろルージュさんの所に戻りやしょうや」
「あ、はい」
そういえばいつの間に泣き止んだんだろう?
ウシズクさんに話しかけられた時ぐらいから?
あれだけ泣いていたのに、ほんの少し話しかけだけで宥められてしまった。
相変わらず謎な人ね。
「ティセラさ~ん。一度迷っちゃうと木乃伊に成っちゃうかもしれやせんよ~」
「あ、はい。今行きまーす」
いけない。
置いて行かれるところだった。
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