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炎が消えたとは言え爆破された部屋へ平然と踏み込んで来たのは……
「ぱ、パパッ!?」
あろうことか、宇宙連邦総司令部総部長であり、また同時に私の父でもある。
アルフレッド・タイザー・バッキムその人が現れた。
しかも、この部屋に来たのはもう1人いた。
「ハハッいつかおっ始めるとは思ってたけど、まさかここまで早いタイミングでとはな。まったく、面倒臭ぇ」
「ヴィ、ヴィンセント!? ウソでしょ!」
エメラルドのように淡い翠色をしたショートカットの髪、ルビーのように澄んだ紅い瞳に、どこか哀愁漂わすニヒルな笑み。
見間違える筈もない。
ここ暫くずっと一緒に居た。
そして、何をどう間違ってもここに一緒に居ない筈の人。
私にはヴィンセント・ローギスと名乗り、世間一般ではHALと認知されている貴方が、何故……よりにもよって宇宙連邦総本部、しかも宇宙連邦総司令部総部長の後ろから歩いてくるの!?
「ヒャハハハ! 役者ァ揃ッたみてェだナ」
「MAX! 遂に裏切ったな、余計な真似を」
「おいおいおいおいそりャねェぜ~?
裏切るッつーなァ、お~互いを信頼してる間柄で成立する事だ。
アンタ等ァオレ様を利用するだけだッたし、ンなオレ様ァ暇潰しに付き合ッてやッたまで。ヒャハハハそ~言や、HALにも同じ事言ッた事在ッたけ? フヒヒヒィ懐かしいねェ~」
父とMAXさんが何やら話しているけれど、私には届かない。
私は、ただヴィンセントを見るだけ。
「ヴィン……ヴィンセント、なんで……貴方が……?」
「ヴィンセント?……ああ! 成る程。そう言う事」
「おい。ご託に付き合う暇は無い。ヤれ」
「フン。アンタも大概外道だな」
『雑念是正』
(フィルリドゥー)
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