NewChapter―Third*背徳…

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  「龍寿。神騙雨雫との戦闘を避ける事が出来なくなった時、おそらくお前が前線に立つであろう。だから聞くが、お前ならどう戦う?」 『私情を抜いたとしても、あの方との戦闘は出来る限り避けたい。 あの方は、普段は生を重んじておられるが、一度戦闘と為れば容赦無く殺す事が出来る。故に、慈悲や躊躇いに期待する事は出来ない。 また、あの方に対し策を練ろうなど、それこそ愚の骨頂とでも言うべきであろう。此方が千の策を練ろうとも、あの方は万の対策を用意する。 即ち、最悪時某があの方と干戈せねばならんのなら、初手で討ち取るより他有るまい。某の能力と妖刀を組み合わせれば、それも可能やも知れん』 『うっそー!? 謀略と知略が売り、捻くれた賢士(ブラックトラップ)と呼ばれるあなたの出した結論がそれ!?』 龍寿の策とはとても呼べない策に失念したかのようなリナが食い付く。 本人としても、これは辛いだろう。 しかしまぁ……少人数だと会議の進みがなんと速い事か。 『確かに、某は姦計を旨とする。然し、獅子の師は獅子、と言う諺をご存知か?』 普段は起伏の無い声が苦々しく震えているのがよくわかる。 それを聞いたリナも、どうやら察したようだ。 『じゃあ何……? 龍っんをこんな風に仕立て上げたのは……』 『察しの通り。 某が策は全て、あの方から學び盗った技法。その上、未熟者故某はあの方の技法の半分も心得ておらん。無論、思考を重ね我流には変えておるが、所詮始まりはあの方の技法。某が勝る事は有り得ない』    
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