眠る記憶

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゛2LDKのアパートに住む平凡な社会人゛ まあ自分を総称するならそんな言葉で充分だろう。何をとっても平凡だと自分でも思うからそれは仕方がないんだけれど。 ちなみに職種は製造現場の事務。 いかにもって感じ。 まぁまぁ皮肉も混ぜながら自嘲していたらなんだか悲しくなってきた……… あ"ー やめやめ! 腹が減っては戦は出来ぬっていうし。 そろそろ朝ご飯作るかぁ タオルで顔をざつに拭いて フライパンを棚から出す。 とその瞬間、滑らかで温かい毛並みの感覚が足元に絡みつく 毎朝の"ご挨拶"…て意味なんだと自分は思ってるのだが本当のところどうなのかは解らない。 「おはよう。レイラ。」 自分がこう言うと彼女は二つ返事で鳴いて、満足したようにローソファーの端の定位置に戻るのだ。 レイラと呼んだその猫はロシアンブルーのオッドアイだ。丁度ここに住んですぐの頃、川沿いの堤防で雨に濡れて衰弱していた所に通りかかった自分が動物病院に運んだという訳。 アパートの入居時に、近隣に鳴き声などの迷惑にならない位ならペットも可…と聞いていたのだが一応退院するまえに、大家さんに直接お願いに伺い、一緒に住まわせることにOKを頂いた…と。 アパートを管理する人の中には動物ってだけで毛嫌いする人もいると聞いていたので、自分は良心的な大家さんに心底感謝した。 レイラとはかれこれ2年近く一緒に住んでいるから、もう立派な家族だ。
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