0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「ただいま」
耳をピクリと立たせて私を確認するとゆっくりと起き上がった。
いつもレイラは私の行動時間を把握している。
朝、出社の時間は一緒に家を出て鍵を閉める。
部屋は二階なので階段を降りるとレイラは一鳴きし、私と別方向にむかって歩き出す。
そして夜帰宅するときにはドアの横で丸くなって目を細めながら、周りの気配を確認しているのだ。
事務職なので幸にも私は定時退社で過ごしている訳だが。
たまに申し訳なく思う。
コンクリートは冷たいだろうに…
レイラと一緒に部屋に入り、内鍵をしめてやっと息を抜く。
今日も沢山頑張った。
よし!
一呼吸置いたところで、着替えるために個室のドアを開ける。
仕事用スペースとして、小さな部屋の方を使っている。
スーツを脱ぎ、Yシャツを着替え、いつものスウェット姿になる。
楽だ…
なぜがレイラはこの部屋には入ってこない。
賢いのか、興味がないのかは定かではないけれど。
最初のコメントを投稿しよう!