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沈黙が怖くて、洋介は柔らかく口火を切った。
「どうして来たんだ?」
「あなたに会いたくて来た、って言ってほしい?」
美和は試すような口振りで言う。
「違うのか?」
「会いたかったわ、ずっと」
美和の声が少し震える。
「そう思っているのは美和だけだよ。ごめん」
その言葉に、美和は涙をこぼし、それはゆっくり頬を伝わってゆく。
『私もそう思っている。愛なんか知らない…』
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