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11月、外は少し肌寒い日。
松永洋介は自身が所属する野球球団、東京グラッツホークズの契約更新へと向かっていた。
二軍選手の彼には、その足取りは重たい。
更新が行われる会長室には綺麗なソファーとテーブルが置かれている。
既に会長らは座っており、促されるままに洋介もそこに座る。
「お疲れ様。ちゃっちゃと済まそうか」
会長のひょうきんな声が、部屋の隅々まで澄み渡る。
「来年…だけどね、キミ、三年目だよね?」
すみません。
去年も一昨年も言ったそのセリフを言いかけた。
しかし、半分くらい言った時、会長は洋介の言葉を遮った。
「クビ!……にしようと思ったんだけどね、これで負けようかな?」
会長の言葉と同時に、その隣に座っていたメガネの男が、薄っぺらい紙を提示した。
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