170人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
「で、結局、携帯は教えたの?」
公園での会話の翌日、まだ早くから智子に吉美は会いに来ていた。
朝10時、小学生が遊ぶような時間だ。
「一応、聞いた…っていうより、勝手に教えられた」
「どんな感じで?」
「なんかあったら連絡してくれ、って」
洋介の口真似をしてみながら、名刺サイズの紙を財布から取り出した。
紙には11文字の数字が書かれている。
「それは…車椅子だから?」
「うーん、そういうんじゃないと思う。
彼、あんまり障害とか、気にしてないみたいだったし」
吉美は手を顎に当ててみる。
よくある、アニメやドラマの探偵のように。
「それは、2つね」
「2つ?」
「車椅子とかに慣れてるか、智子のことが好きか」
最初のコメントを投稿しよう!