過酷な愛の運命

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「先生、私もう24ですよ。一人で病院くらい来れます」 赤井智子は病院の診察室で医師の新津秀和と話していた。 高さ100センチの鼻に、薬の匂いがツーンとする。 椅子に座った、100センチ。 でも、椅子には車輪が付いている。車椅子だ。 彼女はその、足の障害のための、定期検診に来ていた。 「智子ちゃん、ダイブ良くなってるね。薬、少し減らそうか」 「え、本当に!?あ、じゃあ、コナコナのヤツを減らしてよ」 智子は粉薬は妙な感じがしてどうもいやだった。 それを聞いて、新津はほんの少し、クスッと笑った。 屈託のない、無邪気に走り回る少女のような笑顔だった。
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