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「でも、それじゃあダメだよ」
「どうして?」
「それじゃあ会えてないよ、オレ達2人。
例え会えてても…こんばんは。今日は寒いですね。で終わり」
智子の涙がもうそこまで潤んでいる。
うつむいて、「何よそれ」と言いながら、バレないように涙を拭う。
「やってみよ」
洋介は立ち上がり、少し無理に笑って見せた。
それを合図に智子もゆっくり話し始めた。
「…こんばんは」
「こんばんは。今日は特に寒いですね」
「それじゃあ」
「では。さようなら」
そう言うと、洋介はゆっくり坂道を反対方向に上りだした。
智子もブレーキを解除して、ゆっくり坂道を下りだす。
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