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出会ったのは夏の夜で
4コ上の彼はスイミングスクールのインストラクターだった
休みの日はこの町から離れた遠い海で
サーフィンをしてるって
沖の方で波が立つ
いくつも生まれた波が
次々に近づいてくる
板に座って待つ
その時が来るのを
ひたすらに待つ
じりじりと肌を灼く太陽を感じながら
高波が来た
波に背を向けて
必死でパドルして
タイミングを合わせる
追い越されたら
飲み込まれる
一番高いとこを目指して
乗ったら
立つ
波の上を滑走する
そして
波は白い飛沫になって海に消える
見たこともない光景が
目に浮かぶ
皆でごはん食べた後
彼が
送るよって
自然に言った
ありがとうって
助手席に乗って
それが始まり。
今度いっしょに海行くか
うん
彼女できたらいっしょに海行って
サーフィンやってる間
彼女が砂浜で座って見てるっていうの憧れてたんだ
それから
何度も
海についてって
秋も冬も
春も夏も
波の上を滑走する彼を
波を待つ遠い後ろ姿を
飽きもせず
見てた
2回めの冬の夜
サーフィンやってる子好きになった
やっぱり一緒にできる子がいい
ごめんな
って
あっけなく終わった
たぶんこれが初めての恋
初恋は実らないって
本当だね
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