夢遊

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目をつぶっても思い出すのは昔のことばかり。 早く眠りにつきたいのに、頭がそうさせない。 私、彼が死んでから昔のことを思い出してばかりなんだ。 思い出したのは彼と付き合い始めた日のこと。 すごく暑い日だったということは覚えている。 何月何日という乙女チックなことは全く覚えていない。 夏休みだって言うのに、その日わたしは学校にいた。 帰宅部だから別に部活をしにきたわけではない。 希望者だけが来られる補習があったからだ。 教室の中に入ると成績が悪くていつも呼び出しを食らっている生徒ばかり。 補習なんて面倒なものはよっぽどまじめじゃないと受けに来る生徒なんていない。 そもそも私の学校は進学校というわけでもないし、受験もまだまだ先のこと過ぎた。 私は窓際の列の一番後ろに隠れるように座った。 騒がしい教室、私は携帯を取り出して誰かにメールや電話をすることもなく、メニューを開いて昔のメールのやり取りやデータフォルダを見ては消し、そんなことをひたすら繰り返した。 いい加減飽きてきたなと思えばシャーペンを取り出してくるくると回し、既に理解しきった授業内容を聞き始めた。 何の授業をやっていたかは今では覚えていない。
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