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…俺は…どうしたんだ?
真っ暗で身体が動かねえ。
それになんだか…すごく辛い。
どんなに力を入れても動かねえ。
平行時間世界とかいうのに来たんじゃなかったのか?
俺はどうしちまったんだよ!?
アイツに騙されたのか?
「哀れだね。
こっちの世界に来ても、もぅ1人のアナタは2年前から植物人間だっただなんて…。
こんなことならさっきあの世に行っておけば生まれ変わることが出来たのに。
自分の欲深さに呑まれた末路の結果だ。」
植物人間!?嘘だっ!
お前…騙したのか!?
「酷いな。僕はこっちの世界のことなんてこれっぽっちも知らないさ。
特にアナタのことなんて…ね。」
頼む、もう一度チャンスをくれ!
こんなのは望んでない!
頼むから!
寝たきりなんて嫌だ!
「残念だけどアナタは二度と生まれ変わることもできないし、恐らく地獄という場所からも永遠に抜け出せない。
アナタの魂を迎えに来るもぅ1つのアナタの魂は僕の手の中だからね。
あの時…あの世を選択していたならば、アナタの魂は一度地獄に落ちても、もぅ1つの魂が追いついたとき、いつかは生まれ変わることも出来たのに。
サヨウナラ、木村達夫さん。」
木村の魂はその場所を死ぬまで離れることもできず、人口呼吸器などの生命維持装置で、一生病院のベッドで寝たままの生き地獄を味わうことになる。
運が良ければ目覚めることもあるかもしれないが…。
「アベル、これ…ほんとわかてた?
キム…ねるの。」
「本当にわからなかったよ。
僕は神様じゃないからね。
全て自分次第なのさ…。
さぁ、帰って食事にしようポロ。」
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