§ nostalgic §

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此処は何処? 私はどうしちゃったのかしら? さっきまで家にいたはずなのに。 真っ暗で何も見えない…。 「ようこそ迷宮ノスタルジックへ。 高木幸恵さん。」 暗闇の中から声が聞こえる。 でも何処にいるのかわからないの。 何故アナタは私の名前を知っているのアベル? 「ではお聞きします。 何故アナタは僕の名前をご存知なのですか?」 アナタの名前…? あぁ…何で私…知っているのかしら? パチンと指を擦る音がした。 するといきなり周りが明るくなった。 そして目の前には綺麗な白髪に赤い目、左目を髪で隠したした色の白い青年が1人。 そしてその肩には1匹の蜘蛛がちょこんと乗っていた。 「アナタに一時的にその人形に入ってもらいました。 アナタは今魂だけの状態だったのです。 なので辺りが暗く見えたのですよ。 そして僕以外の声も聞こえてはいなかったはず。 僕が直接アナタの魂に話しかけていたから声が届いていたのです。 人形に入っている今なら、アナタもちゃんと喋ることが出来ますよ。」 「あ…本当。 あの…アナタは? 名前はわかるのに…他はわからない。 それに此処は…?」 「僕はアナタのご存知の通りアベルです。 そしてこっちはポロ。」 そう言って肩の上の蜘蛛を紹介した。 「…よしく。ポロ。」 「蜘蛛が…喋るの?」 「厳密には喋りません。 彼もまた人形に入っている状態です。 僕の力を少し分けたので喋りますが…言葉はこの通り、つたないです。」 「べんきょ…しるもん。 たからだいじぶ。ポロはしゃべる。」 肩の上でポロという蜘蛛は一生懸命に喋っていた。 「ポロ、少し静かにしてて。 大事なお話しをするからね。」 そう言うとポロは黙った。 「失礼、お話しの続きを…僕達はノスタルジックを届ける為の存在です。」 §
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