§ nostalgic §

3/7
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
「…ノスタルジック?」 「ええ。この部屋はあの世と現世の狭間の中の、更に過去と現在の間の時間と時間の間に位置しています。 アナタは先程まで家にいましたよね? その後どうなったか覚えてはいませんか?」 「頭痛がしたわ…薬をのんで…確かそれで眠ったのよ。」 そぅ、いきなり頭が割れそうなくらいの頭痛がして、頭痛薬を飲んだ。 そのまま眠くなってソファで眠ってしまった。 「アナタはそのまま死んでしまったのです。」 「…そんな…嘘!これは夢だわ! 私起きなきゃ…もうすぐ由香が学校から帰る時間だもの!」 死んだなんて…変なことを言わないでほしいわ! 夢よ!全部夢よ! 私眠ってるんだわ! 「残念ながら夢ではありません。 …アナタは頭痛がしたと言いましたよね? 脳梗塞だったのです。 アスピリン等で眠くなったのではありません。 そのまま死んでしまったのですよ。」 「嫌!そんな…由香はまだ小学校2年生なのよ!? 私が死んだら…あの子…!」 幸恵は泣きながら言った。 僕だってわかっているさ。 いきなりお前は死んだなんて言われたら…こうなるのは当たり前だ。 「幸恵さん、アナタはあそこへ帰りたいですか?」 「当たり前よ!…帰る方法があるの!?」 「…厳密に言うと帰るというより、別の世界に行く…と言ったほうが正しいですね。 アナタのいた世界とは別の、時間の平行した世界に行くのです。 そこには幸恵さん自身が存在し、また…由香さんも存在しています。 その世界の幸恵さんの魂を抜き、アナタの魂を入れるのです。」 §
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!