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「――ええぇ!?」
この言葉はさすがに予想外だった、いや、さっきから予想外の連発なのだがこれは更に斜め上をいく程の予想外だ。
ネオンは王族であることは勿論セイレムの一学年切っての魔法の実力者だ。
「一人より二人で特訓した方が上手くいけると思うんだけど、迷惑だったかな?」
――そんなことはない!
願ってもみない提案だった、一人で特訓するのにも限界を感じていた所だった。
それに、他人の為に怒れるような彼女ともっと話がしてみたかった。一月と言う月日の内に落ちこぼれと呼ばれ嘲笑の対象だったグレンには、やっと出来る繋がりは飛び付く程魅力的だった。
「いいえ、こちらこそお願いします。テールナイトさっ……」
「ネオンで良いよ、それに敬語もなしね。同い年なんだから」
春の訪れを知らせ咲き誇る花のような笑顔を浮かべるネオンは、繋いだ手をそのままに校舎に向かって歩いて行く。
「じゃあ特訓は明日からと言う事で今日は私の友達紹介するね。すごい子でね、私達のいっこ下なのに特別に入学してきたの」
手を引かれながら歩くグレンの顔もまた春を告げるようなネオンの笑顔に釣られ穏やかなものだった、いつかまた手を繋ぎ今度は隣に並んで歩いてみたいなと小さく想いを浮かべて小さな恋の芽が始まりを告げているのであった。
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