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36 仏教慈徳学園
夜中の2時に、救急病院からの電話で起こされた。
「○○さんのお宅ですか?
〇○さんは息子さんですか?
交通事故を起こされまして、今こちらの病院に救急車ではこばれたんですが…
頭を打って吐いているので、これから検査しますが…
覚悟して貰った方がいいかもしれませんね。
すぐに、来られますか?」
ああ…ついに来たか‼と思った。
Tも聞いていて、
「すぐに行こう‼」
と言ってくれた。
横田基地16号線沿いにある第2目白病院、ここら辺の交通事故と言えば、たいがいそこに運ばれる。
三女は6年生の長女に頼んだんだか?
覚えて無いけど2人で向かった。
息子は「痛てーよ‼痛てーよ‼」と、時折吐きながら喚いていた。
こんな時までうるさい奴だ‼
「入院なんかしねーからな‼」
どうしよう死んでしまうのかな⁉
反面‥いっそ死んでしまえ‼
本気でそう思うよ。
深夜、奥多摩でパトカーに追っかけられて、転倒して頭を打ったらしい。
パトカーが深追いし過ぎたとか‥
反対側に倒れてたら、ダンプに引かれてたとか聞かされても、ピンと来ない。
よくよく悪運が強いんだと思うよ。
内臓もやられてるし、こんなに元気なのが不思議だと医者は言ってた。
どうしても帰ると言い張って聞かない。
Tは連れて帰ろう‥と言い
医者は「何があっても保証しませんよ」と言って承諾してくれた。
2人がかりで車に乗せる。
痛がって喚き散らす。
息子の靴がどこかに吹っ飛んで無くなっていたから…
Tは自分が裸足になって、サンダルを履かせてくれた。
そんな事だって、いまだに覚えちゃ居ないだろう。
痛がって
痛がって
それでも,何とかやっとの思いで連れて帰った。
Tは殆ど眠らずに、仕事に出かけた。
息子の部屋の隣りに居る、娘たちは…きっと生きた心地がしなかっただろう。
いつも、いつも、いつも…
犠牲になるのはこの・2人の娘たちだった。
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