36 仏教慈徳学園

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そして…あっさり捕まって、また鑑別所送りになる。 前は私1人か、娘と面会に行ったけど… 今度は、Tと三女と3人で行った。 息子は、Tを父親として慕っていたし、甘えても居た。 本当に好きだったんだと思う。 「お父さんが、俺の本当のお父さんなら、俺はこんなになって無かった」と・ずーっと後になって言ってたよ。 家庭裁判の審判は、“仏教慈徳学園送致”に決定した。 それは、横浜にある普通の大きな家。 花輪次郎先生と奥さん、息子さんが、《お父さん、お母さん、お兄さん…》の役割で家庭の形を取っている。 作業は“石磨き”。 石を磨きながら、自分の心を磨く…。 心を重視した情操教育。 花輪先生は1人1人ととことん話をする。 納得が行くまで、徹底的にだ。 塀もカギもない、普通の民家。 ある意味、教護院よりも人間味のある更正施設だと思う。 体も心も大きな、70代の花輪先生が生涯を掛けて、1人でも多くの非行少年を更正させたいと願い作った施設だ。 逃げ出した子は居ないと聞く。 そんなにたくさんの子供を収容出来ないけど… その分.目が行き届くと思う。 運営費用は、保護者からの寄付だそうで…経済的にはかなり苦しいと聞いた。 初めの面会の時、「あれこの子、顔付きが変わってる」 そう感じた。 「○○は石磨きの天才ですよ」 と花輪先生は息子を絶賛したくれて、なぜかとても可愛がって貰って居るように感じた。 花輪先生と奥さんはラブラブで… 先生は体の弱い奥さんを、すごくいたわって子供達にも、「ママに心配かけないように」とか「ママの言う事は聞きなさい」とか、 とにかく、奥さんを立てる生活をしているらしい。 使命感から自分がやりたくて、無理してやっているこの学園を、本当はママはやりたくないのに、一緒にやってくれているから…と言う事らしい。 「私が辞めたら、行く所がなくなる子が居るから…」 そう、先生は言ってた。 すごい人だと思う。 尊敬に値する人だよ。 だけど、規則はある。 あくまでも、軌道修正のための更正施設なんだから。 謹慎だってあるみたいだ。 息子は石磨きはいやじゃないけど…むしろ好きだけど… 人間関係が嫌だと言っていた。 ここに、何ヶ月居たんだろう? いろんな所に入ったけど、きっと…ここが一番、心が安らげた場所だった筈だと思うなあ… 息子は、逃げ出した 。 花輪先生は、息子さんとわざわざ探しに来てくれたけど‥
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