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そして…あっさり捕まって、また鑑別所送りになる。
前は私1人か、娘と面会に行ったけど…
今度は、Tと三女と3人で行った。
息子は、Tを父親として慕っていたし、甘えても居た。
本当に好きだったんだと思う。
「お父さんが、俺の本当のお父さんなら、俺はこんなになって無かった」と・ずーっと後になって言ってたよ。
家庭裁判の審判は、“仏教慈徳学園送致”に決定した。
それは、横浜にある普通の大きな家。
花輪次郎先生と奥さん、息子さんが、《お父さん、お母さん、お兄さん…》の役割で家庭の形を取っている。
作業は“石磨き”。
石を磨きながら、自分の心を磨く…。
心を重視した情操教育。
花輪先生は1人1人ととことん話をする。
納得が行くまで、徹底的にだ。
塀もカギもない、普通の民家。
ある意味、教護院よりも人間味のある更正施設だと思う。
体も心も大きな、70代の花輪先生が生涯を掛けて、1人でも多くの非行少年を更正させたいと願い作った施設だ。
逃げ出した子は居ないと聞く。
そんなにたくさんの子供を収容出来ないけど…
その分.目が行き届くと思う。
運営費用は、保護者からの寄付だそうで…経済的にはかなり苦しいと聞いた。
初めの面会の時、「あれこの子、顔付きが変わってる」
そう感じた。
「○○は石磨きの天才ですよ」
と花輪先生は息子を絶賛したくれて、なぜかとても可愛がって貰って居るように感じた。
花輪先生と奥さんはラブラブで…
先生は体の弱い奥さんを、すごくいたわって子供達にも、「ママに心配かけないように」とか「ママの言う事は聞きなさい」とか、
とにかく、奥さんを立てる生活をしているらしい。
使命感から自分がやりたくて、無理してやっているこの学園を、本当はママはやりたくないのに、一緒にやってくれているから…と言う事らしい。
「私が辞めたら、行く所がなくなる子が居るから…」
そう、先生は言ってた。
すごい人だと思う。
尊敬に値する人だよ。
だけど、規則はある。
あくまでも、軌道修正のための更正施設なんだから。
謹慎だってあるみたいだ。
息子は石磨きはいやじゃないけど…むしろ好きだけど…
人間関係が嫌だと言っていた。
ここに、何ヶ月居たんだろう?
いろんな所に入ったけど、きっと…ここが一番、心が安らげた場所だった筈だと思うなあ…
息子は、逃げ出した
。
花輪先生は、息子さんとわざわざ探しに来てくれたけど‥
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