3 結婚

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お勝手で水仕事してる母に、Sの事を父に話しだけでも聞いて貰いたいと泣きつく。 苦労して来た、可哀想な人なんだよ、 頑張ってるんだし、養子に来るって言ってるんだから…等々… 母は福島県と言う所に反応した。 福島県の人間は働き者‥みたいなイメージがあるらしい。 知らない。 「まったく、人を困らせる事しかしねえんだから‥」と言いながら、エプロンで濡れた手を拭き拭き、父の方に行ってくれた。 もう、大丈夫。 母が味方になれば‥ たいがいの希望は通るから…。 案の定… 「一応、話を聞いてやるから…」 タバコに火をつけながら、そっぽを向いて…相変わらず苦虫面の父が言う。 人間なんてさ、飛び込みの営業マンがそうだけど… ここまで来れば、契約は成立したのも同じだよね。 父は1人娘の、ワガママに負けた。 会って3日目の男と… こうして,大して考えもしないで、 結婚する事になったんだよ。
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