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39 手術入院
帝王切開‥4回
今度は卵巣、子宮の摘出手術。
なまじ、痛さと怖さを知って居るから…
「死んだ方がましだ‼」と言ってしまった。
本当に嫌だったんだよ。
何日もブスブスしている私に、
「俺のために、手術してくれ‼」
とTは言った。
そうか…自分の事しか考えて居なかった
家族のために、まだまだ死ねないね…。
それで、3才の娘が問題になって来る。
長女と次女は中学だから…自分達で何とかするだろう。
Tも当然、自分の事は自分でするだろう。
3才の三女はまだ保育園だし、送り迎え出来る人が居ない。
どうしょう。
考えた。
母が来てくれるんだけど、保育園の送り迎えはとても無理だ。
それで…
児童相談所に預かって貰う事にした。
本当は入院中の2週間だけで良かったんだけど…
児童相談所の規約で、1ヶ月単位でなければ預かれないと言う事なので…
私がまだ家に居るうちから預ける事になった。
寂しいものだ。
そして、私が手術すると言う事は久里浜の息子も、少なからずショックだったようで、すごく心配して居たらしい。
雪が降ってた。
何年かぶりの大雪だ。
まるで、死刑囚が‥
刑の執行をされるみたいな気持ちになる。
手術台の上の、物々しいデッカいライトも嫌なら、手術台の横に並んでる、メスや鉗子や針や手術用具も背筋が凍るほど嫌だ‼
隠してくれたらいいのに…
まな板の上の鯉だよ。
麻酔の注射は針が、10センチ位有りそうな程長い。
「はい、背中を思いっきり丸めて…
ビクッとならないでね。
ちょっと痛いよ~」
(先生、ちょっとじゃないですよ‼)
脊椎に刺した針は、それからしばらくは、何日かそのままだ。
その背中の細い細い管から、徐々に麻酔薬を入れる。
「はい、じゃあ‥数を数えて行くよ。
いーち、にー、さーん、しー…」
だいたい7位で意識は無くなる。
次に気が付いた時は、自分の唸り声と、何とも言い表せない腹の痛み‼
ボーリングの球でも、縫い込められてるんじゃないかと思うような鈍痛。
痛い‥のは通り越している。
麻酔が切れる時の違和感。
濃霧が徐々に晴れるように、視界がハッキリしてくるにつれて今の自分の状況が分かって来る。
《今夜一晩は、唸るな‥》と思う。
母とTは4時間半の手術時間を、ずっと待合室で待って居て…
麻酔が切れるまで更に待って‥
二言三言話して、「また明日…」と帰って行った。
今夜は、長い夜になりそうだ。
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