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4 スナック
ひとつ感心したのは…
Sは職業柄、モテそうな外見から、ちょっと考えられないけど,すぐに手を出さなかったって事。
「ちゃんと結婚を許してもらうまでは、
何もしない」
コレは守ったよ。
だけど、いくつかのウソと…
その時、5又かけてたって事にはびっくりしたなぁ。
ウソは天涯孤独じゃなく、複雑な事情だけど身内は居たって事。
と…
これはずっと後になって白状したんだけど、2つ年下の19才だったって事。
却下五ヶ条のうち
チビ・でぶ・ハゲ・ひげ・・・年下
の年下には当てはまってた訳だよね。
居抜きで格安の、スナックの出物があると知り合いに聞いて、また,父にワガママを言った。
Sと2人でやりたいから、お金を出してくれと頼んだ。
堅実な父が、よく承知したと思うよ。
たぶん,私はそれだけ深く両親に愛されてたって事なんだよね。
話は思うより早く、トントン拍子に進んで、間もなく西八王子でスナックを開く事になった。
福生のワールドには、悪い事をしたと思うよ。
せっかくお客さんも付いてきたのに、辞めちゃうんだからさ。
ユリが後がまをやる事になったんで、良かったとは思ってる。
“ケセラ”と付けた交差点の角の店。
ちょっと変わった内装の店。
うまく行くと思った。
この時流行って居た歌は…
郷ひろみの“さよなら哀愁”
有線で流れると
「K子さん!握手!」とSがいたずらっぽい笑顔で、右手を差し出して来る。
すごくひょうきんで、マメで、タバコをくわえたら火・コップを持ったら注ぐ‥を
「はい、はい、はい!」と守ってる。
うまく行ってると思ってた。
でも、あのお客が言った
「止めた方が良い」の意味は、すぐに分かったよ。
彼は酒が強い人だったけど、一升を越すと酒乱気味に なり、DVになる。
分かった時には、妊娠していた。
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