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何がどうなったのか、分からなかったけど、本気だと言うことは分かった。
「私が何したって言うのよ⁉」怒鳴り返した。
火に油だ。
「ぶっ殺してやる‼」
カウンターの向こうから、出刃包丁を突きつけてる。
私も頭に来ていたから、
「心臓はここだから、一発でやりなよ‼」
「おう‼やってやる‼」
カウンターを乗り越えて来た!
私はドアに突進して、走った。
走った。
走った。
走った。
追って来る‼
捕まったら殺される‼
幸い、Sは相当飲んでて、ハンデがあったみたいで、追いつかれる前に交番が見えた。
振り向くと、Sは向こうの方で止まって、こちらを睨んでいた。
言葉も出ないほど、ハアハア言ってる私を見て、お巡りさんは、いっぺんに眠気が飛んだようだった。
「どうしました⁉」
「誰かに、追いかけられたと思ったんです」
お巡りさんは外に出て、今、私が走って来た道を見る。
夜中の路上には、誰の姿も無い。
「勘違いかも知れません」
しばらく、そのお巡りさんと話して
「送りましょうか?」と言われたのを遠慮して、恐る恐る店に戻ると…
Sの姿は見えなかった。
お巡りさんを連れて来ると思って、逃げたんだろう。
その日を境に、SのDVは、一挙に表面化して加速していった。
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