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7 閉店
Sがだんだん、お金に困って来た。
生活費も渡せないくらいになって来た。
DVも直らなかったし、事態は悪い方に動いて居たね~。
夜中の3時過ぎに帰って来て、
「寿司を買って来たから‥食え」
寝てる私を起こして言う。
「要らない」
「俺が、せっかく買って来たものを食えねえってのか⁉」
寿司の包みをふすまに投げつける!
テーブルをひっくり返す!
ビンタ!
足蹴り!
げんこつ!
私もやられてばかりは居ない、やり返す。
火に油だ。
所詮、男の力にかなう訳じゃないよ。
いつやられた時かは分からないけど、
右耳は鼓膜が破れて、聞こえないままだ。
Sの神経で分からない事があるだけど‥
女の子に関して、普通じゃない。
お水の‥女の子のお客を家に連れて来て、泊めたことかあるんだけど‥
誰の子か分からない子を妊娠して、困っていたから‥
同意書に自分の名前を書いてやり、
体が良くなるまで何日か置いてやってくれ‥
だって。
さすがに「あんたの子じゃないの⁉」
と言っちゃったね。
大恋愛の末に結ばれた・・・って訳じゃないから、嫉妬心も無かった。
だけど‥
こういうのは嫌だ‼
ただのお客さんだって、知ってるよ。
だからって、何で私がこの子の
面倒を見なきゃいけないんだよ‼
私だって8ヵ月の腹ボテなんだからさー‼
その時もやりあった。
きっと‥
身よりも無く、1人で生きている、ちょっと足りないんじゃないかと感じる
この子が、人事とは思えなかったんだろうね。
自分の尻に火がついてるのに、悠長なもんだと思う。
何で、お金が無いのか分かった。
ツケが溜まりに溜まって…
売り上げはあるものの、現金が無い。
ヤクザの溜まり場になって居たから…
普通のお客なんか、ビビって来やしない。
バカな事をしたもんだよ。
にっちもさっちも行かなくなって、Sは私に泣きついた。
もう、どうにもならない。
家賃も滞納して居る。
仕入れも未払い、どこもツケでは売ってくれない。
ツケは回収出来ないし、もう、やって行けないんだよ‼
びっくりした。
薄々は感じてたけど、そこまで行っちゃってたなんて・・・
あの頃は、礼金敷金ってのがあったから、それで何とかなった。
スナックは1年保たないで、閉店して、
私たちは、田舎に転がり込む事になった。
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