2 回想編

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いろいろあり過ぎて… 五十代も半ばになった今、どこから、どんな風に話せば… 正確に伝わるのか、分からないけど… 全力疾走でここまで来て、振り返る事も、反省する事も無かったから… 今があるんだなあ… と、つくづく身につまされて感じる。 私は、母親じゃなくて・・・ 女だった。 21才・・・ 福生 かつては、赤線と言われた有名な風俗店街。 その頃はもう‥赤線は廃止されていて、 普通の飲み屋街だったけど、たぶん‥まだまだ隠れた売春店はあったに決まってる。 それは、今だってそうかも知れない。 すぐそばに横田基地があるせいで、肌の色が違うお客がけっこう居たし、置きみやげのハーフが珍しくもない町だった。 でも、アメリカ人もだいぶ本国に引き上げて、客の大半は日本人になってたけどね。 そんな元赤線の一角にある、“スナック・ワールド”に私は居た。 田舎がイヤで、家出して、行き当たりばったりの、目立たない店… たまたま“募集住み込み可”の張り紙に惹かれて働く事にしたんだ。 怖いもの知らずの、若さ(バカさ)だと、今なら思う。 5.6人も入れば満席になるカウンターだけの狭い店で 60代のおばあさんママが1人でやって居た。私はその日から、看板娘になったもんさ。 もう‥何年も働いてるような顔してね…
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