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いろんなお客さんが居たよ。
サラリーマン、土建屋、学生、医者、自衛隊、もちろん・アメリカ人も来た。
赤線街と言っても、外れの方だったから常連客が多くて‥
おばあさんママが1人でやってる割には、けっこう繁盛してたと思う。
私の住まいは、店の二階…六畳一間。
お勝手とトイレは付いていたけど、風呂は無かったから…
近くの銭湯に行くんだよ。
余計な物は持たないで、着替えだけを車に積んで、出て来たから…
布団は、ママにもらった。
後は・おいおい必要に応じて買えば良い。
第一、お金なんか無かったんだから…
面白かったなあ。
毎日がお祭りみたいだった。
1ヶ月もすると、この町にも、人にも慣れた。
運転免許を取る時に、意気投合して、それ以来仲良くしてる友達を呼んで、一緒に暮らし始めた。
女の子だよ。
ずっと水商売をやって来た、ユリはワールドには勤めないで、時給が良いからってバーに行き始める。
カトレアって言ったかな?
同じ水商売でも‥
中身は違うようだったなぁ。
だいたい着る物が違うんだよね。
ヒラヒラふりふりの、ホントに女っぽいドレスで出勤してたっけ。
こっちは下手すりゃジーンズでも良かったからさ~、なんかよく分からない世界だよね。
3ヶ月くらい経った頃だと思う。
よく覚えてないけど…
常連客が若いバーテンを連れて来た。
仕事中のバーテンを気に入ったからなんだか、連れて来たかったんだとか…
「何にしますか?」
って、お絞りを出しながら聞く。
ジーッと顔を見てて返事もしない。
目に特徴がある、割といい男だった。
バーテンだもの、女にはそりゃモテるだろう。
「何にしますか?」お通しを目の前に置きながら、私もバーテンから目を反らさずに聞く。
「ああ‥ビール」
「はい!ビールですね?」わざと聞き返す。
「ねえ、俺と一緒にならない?」
ナンパもいろいろあるけどさ、二言目に言うかね?!
「条件があるけど、それを全部クリアーしたら良いよ。」
「何よ?言ってみなよ」
「チビ・でぶ・ハゲ・ヒゲ・年下は却下!」
「それだけ?」
「まだある!
タバコをくわえたら火、コップを持ったら注ぐ。
それから…婿養子に来る事!」
「全部クリアー‼
俺、ぴったりだよ。約束してよ!
俺と一緒になるって!」
「婿養子だよ!」
「良いよ~。
俺・家族が居ないから、家族が欲しい!約束だよ!」
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