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夕方Tは帰って来た。
そして、夜奥さんからも電話が来た。
「Tが行ってますか⁉」
「来てるよ」
「帰るように言って下さい!」
「言わない。
私は居心地の良い空間を作ってやって下さい!って頼んだよね⁉」
「たった1日で何が出来るんですか⁉」
「出来るよ‼
何だって‼
その気が無かっただけでしょう⁉
帰さないよ‼
私は一回帰したんだからね!」
「Tと代わって下さい!」
受話器をTに渡す。イヤだと首を振ったけど、口パクで「逃げないで」と言ってやった。
「もしもし…」とTが言ったとたんに…
もの凄い勢いで、まくし立てる。
何を言ってるのかは分からないけど…
とにかく、もの凄い‼
あれじゃあ、嫌になるわ。
Tは…ほとんど受話器を耳元から離してる。
「もしもし…」私が代わって出た。
「それのどこが、居心地の良い空間なのよ⁉」
「あんたにそんな事言われる覚えは無いわよ‼
泥棒猫のくせに‼」
「そうだね、確かに言われても仕方ないと思うよ。
だけど、あんたはこの人をほんとに愛したって言えるの⁉
居場所が無いと思わせるような愛し方って何なのよ⁉
昨夜だって、2人でどこかに行くとか、やる事はいくらもあったんじゃないの⁉
何もしてないでしょ⁉
努力します!って言ったのに、
努力しなかったよね?
違う?」
「これからやろうと思ってたんです‼
聞いて良いですか?
夫婦って言なんですか⁉」
「私に聞かないでよ、失敗してるんだから…
ただ言える事は、自分以上に相手を思いやる気持ちじゃないの?
それを忘れなければ、うまく行くんじゃないかな?」
しばらく黙った。
そして…
「良い人なんです。」と静かに言った。
「うん、知ってる」
「本当に良い人なんです」
「うん…」
「よろしくお願いしますね!」
「うん」
彼女は、諦めるんだ…
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