~優しさと誠実さ~

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~優しさと誠実さ~

ベンチに酔って寝ているサラリーマンがいた。 一人のおばあちゃんホームレスがゆっくり近づいていく。 財布でも盗るんじゃないか? 一瞬でもそう疑った。 しかし、違った。 おばあさんホームレスは自分の着ている上着をそっとかけてあげた。 今度はそのおばあちゃんホームレスに別のホームレスのおじいちゃんが優しく上着をかけてあげた。 そのおじいちゃんホームレスに代わりにミカンを差し出した。 ふいに心が温かくなった。 それだけじゃなかった。 別な場所ではやせ細ったホームレスが頑張って集めたお金で買ったのであろう肉まんを野良犬にほとんどあげてしまっていた。 交番に落とし物のバッグを届けに行く人。 不良たちの不満を黙って頷きながら聞いている人。 様々な優しさ、誠実さが溢れていた。 真也は一つの写真立てが置いてあるブルーシート小屋が目に入った。 「あれは、子供を事故から守って死んだ人の家だったんだ」 おばあさんはゆっくりそう言った。 真也がその場に行くと、花と手紙が供えられていたのを見つけた。 手紙には子供の字でこう書かれていた。 <あなたの家は私の心の中にあります> 真也の目から涙がこぼれていた。 この公園は美しい。 真也は心からそう思った。 『どうだい?この公園だけでもこれだけ美しい命が溢れている。』 おばあさんは真也の隣でそう語りかけた。 『知らなかった。こんなに美しい場所があるなんて。』 『もう一つ見せたい場所がある。』
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