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~命なんて無意味だ~
『なんですか?』
真也は静かにそう聞いた。
『何でもないよ。ゆっくりと静かな夜を過ごしてるだけさ。私がここにいたら邪魔かい?』
ゆったりと椅子を揺らしながら、優しく、かつ上品さを醸し出しながらそう言った。
『いえ。でもあまり居て欲しくは無いです。』
誰が見てたって構わないさ。
真也はそう思った。
『あんた死ぬのかい?惜しいねぇ。まだ若いのに。』
なんなんだよこのばあさん。
真也は少し苛立ちを覚えた。
『この汚い世界から抜け出したいんです。僕1人がいくら人を助けても、優しく手を差し伸べても何も変わりはしないんです。人の心は救えない。すっかり汚れてしまった。欲や金に溺れ、支え合い、協力し合う事の大切さなど知らない。貧困が溢れ、争いは尽きない。この真っ黒な世界では命は結局ちっぽけな無意味なものでしかないんです。』
腹立ちを隠しながらオレは静かにそう言った。
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