プロローグ[物質(アッシャー)界]

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 桜の木々が花弁を落とし新緑を増しつつある5月半ば、高校1年生の神命寺 響哉[しんみょうじ きょうや]は学校へ向かうためにまるで何も入ってなさそうな薄いカバンを抱え眠そうな顔をしながら徒歩で通学していた。  響哉はまだゴールデンウィークの気分が抜けず、昨日も深夜遅くまでネットサーフィンを楽しみすぎて就寝したのは今日の朝4時過ぎであった。「ネットには色々な情報が存在するから」と響哉自身は言うのだがそれが役に立った試しはない。むしろ他の人に言わせると終身妨害と見なされるだろう。響哉だって高校生、『寝る子は育つ』と言うように寝ないと成長が止まってしまうんじゃないかといつも毎日のように5歳離れた姉からブツブツ言われる。  別に響哉自身この生活が高校生の成長には良くないこととは分かっている。だが、この4月から持ち始めたパソコンがどうしても気になってしまう。響哉はそれまでパソコンはおろかテレビだってまともに見たことがないため、それまでの鬱憤は晴らすかのように中古品で一世代遅れてる型であるが自分専用のパソコンに長時間向かってしまうのだ。またテレビ機能も付いており、多くのチャンネルを見れることも長時間のパソコン生活を送ってしまう原因となってしまっているのだ。
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