†日常

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大通りを外れた、小路にそれはあった。 「向日葵総合病院」と描かれた看板が、その存在を大きく主張している。 赤れんが造りの建物は、どこかメトロな雰囲気を醸し出していて、通行人の目を引いていた。 一歩間違えば、喫茶店にでも成り代わってしまう、異様な外見を持つこの建物。 これこそが、悠利たちの家であり、戦場なのである。 「ただいまっす。」 ドアを突き破る勢いで、悠利が突っ込む。踏み切りは上々、といったところだ。 と、同時に。 カランコロン、ブーッブーッ、ガシャーン。ドドドドドド、ピーッ。オマエハカンゼンニホウイサレテイル、フハハハハハ…… 実に多種多様な雑音、いや轟音が轟いた。 悠利と中田といえば、特別驚いている様子でもない。寧ろ呆れ返っている、という表現のほうが正しいだろう。 轟音が示し合わせたかのように、止む。 と、突然真っ暗闇の中に、影が現れたではないか。白い靄のような物体に、不安定な黒がうごめいている。先程の騒ぎの中で何者かがドライアイスに水をかけたようだ。 神々しいスポットライトに映る人影が、歩みを進めている。すらりと伸びた背筋に長い手足。モデル顔負けの抜群のプロポーションである。 「おかえり。どう?向日葵総合病院の総力を結集して作り上げた、防犯グッズは。」
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