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それから数分して家主の声が聞こえた。
「ただい…アイツ等また来てんのか…」
家主は脱ぎ捨ててある靴を見て、ボヤきながら頭をポリポリかいた。
「ユキお帰り~」
雫は玄関へと向かってユキと呼ばれた中年を迎えた。
「おぅ、雫。アレ?アイツ等どこいった?」
「旅に出たよ~」
「はっ?」
ユキの質問に雫は答えていた。
「…まさか…異世界か?」
書斎のドアが開いている事に気付いたユキ。
「そう。可愛い子には旅をさせろって言うしね♪」
雫はさも良いことをしたように言っている。
「…はぁ…つー事は恐らく、春人と秋人は俺と同じ思いをするんだな…」
玄関にある5個有るはずのスリッパが3個余っているのを見て、ため息をついた。
「雫、お前アイツ等に靴持たせたか?」
「…あ!」
時は既に遅かった。
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