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「…ボ、ボクが?」
指名された夏美は震えが止まらない。
「ん?殺さないと可哀想だろ?ホラ、この龍も早く楽にしてくれって言ってるだろ?」
確かに銀の龍は己の体力の高さを呪っているようにも見える。
「…たく、春人、秋人お前等やれ」
面倒くさそうに男二人に頼んだ雪人。
しかし、二人に動く気配はない。
「…お前等、ゲームかなんかと勘違いしてないか?違う世界であろうと、お前等が今居るのが現実なんだ!」
次第に激昂してきた雪人。
ただ、これは全員の甘い考えを払拭するには必要な事だった。
「自分達で考えて行動しないと、お前等は多分死ぬぞ?」
剣を握りしめた雪人は、銀の龍に向かって一閃をした。
少なくとも全員の目には一閃に見えた。
踵を返した雪人の背後で、バラバラになって崩れゆく銀龍。
全員は初めて父親を恐ろしく思った。
ただ、強いのは勿論だがそれだけではなく、躊躇いも無く命を断てる事を…
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