変化

3/5
前へ
/50ページ
次へ
「…あははは…ボク食欲ないから…ちょっとその辺り歩いてくるよ…」 夏美はそう言って、一人歩き出す。 「あんまり遠くに行くなよ~!」 秋人は呑気に背を向け、歩いている夏美に言葉を投げかけた。 春人と美冬は食材探しの準備にかかっている。 「…お前等もなかなか現金だよな…」 雪人は呟いて、一瞬にして姿を消した。 夏美は気がつくと崖の側にいた。 雑草が生い茂る中、平らな石を見つけ、そこに体育座りをしている。 「…ボク…命奪うなんて出来ないよ…」 ブチブチ雑草を引っこ抜いては崖下に投げ捨てる。 「…ボク…戦えないよ…」 夏美は更にうつむいてしまう。 何故流れ落ちるのかわからない涙。 「殺す事が怖いのか?」 背後から声をかけられ、ビクッとなる夏美だが、声の主を見て警戒を解く。 それは雪人だったからだ。 「だって…ボクが…ボクの手で…」 「甘えるのが通用する世界ではないし、現にお前は向こうの世界でも命を食している。今さっきまでブチブチ抜いてた雑草にだって、命はあったんだ。」 雪人は矢継ぎ早に言った。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加