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『幸せだな…もう死んでもいいや』 そう思っただけだった ふと目を前にやると、人が倒れていた。 何か見たことある… 『あれ?これ…俺?』 先程までごくごく普通に生活をしていたはずなのだが 泣き崩れる嫁や 駆けつける救急隊員 運ばれてゆく俺の身体 そして 家の前に群がる野次馬を目にし 自分が死んだんだと とりあえず納得した。 だが何故? 百歩譲って死んだ事は納得してやろう… 経緯は?死因は? 心臓麻痺だろうが 脳梗塞だろうが 毒殺だろうが 撲殺だろうが ある程度の衝撃もしくは苦しみみたいなものがあるはず …でも それは無かった どういう事だ? 『あなたは死んでもいいと思ったから死んだのです。』 振り返るとそこには 満面の笑みをこぼしながらこちらを向いている男がいた。 あぁ…こいつが俗に言う死神か 『そうですね、貴方がたの世界ではそう呼ばれる存在かもしれませんね。』 で?死因はなんなんだ? さっきは俺が死にたいから死んだと言っていたが… 『その言葉の通りですよ、如何でしたか?25年間の人生は』 ちょっと待て!死んでも良いと思ったから俺は死んだの? 『えぇその通りです。』 おかしいだろ?人ってそんな事で死ぬのか? 『えぇ死にます。生きていたいと思う者だけが生き続ける…当たり前の事でしょう。』 …確かに俺は死にたいと…死んでも良いと思った。 でも…それは幸せ過ぎてしまって…つい思ってしまっただけだ。 『だからですよ。あなたはその幸せで、もう充分だと…』 そんな事で死んだのか?…納得出来るはずないだろ! 『そんな事で?今更何をいうんですか…あなたはこれ以上の幸せを味わう事はないだろう…そう思った上で死んでも良いと…』 男は続けた 『残念ながらあなたは選択を誤った。この幸せがずっと続けば良い、もしくは物足りないと…そう思ってさえいればもう少し長く生きられたかもしれませんね』
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