トライアルグレイ

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「こんにちわ~今日はよろしくお願いします。」 眼鏡をかけ、普通のサラリーマン風の人が入ってきた。私は誰だかさっぱりわからない。 「お願いします~」 お姉様方が笑顔で口々に言う。 この人演歌とかかな? でも地味~な人。 「こちらへどうぞ!」 部長が招きいれようとすると、その人は手を横にふりながら、 「今日急にPV撮影の方が入ってしまってあまり長居できないんですよ。」 「そうなんですか。連絡くれれば合わせましたのに。」 「いえ。今日はこいつ、連れてきましたから。自分で選びたいと言い出しまして。」 そう言い後ろを振り向く。 そこにはニットの帽子を深く被り、マスクをしてる人がたってる。 「…。」 なにもしゃべらない。 みんなどういうことか理解できず、ぽかんとしていた。 急にそいつは一歩一歩周りを見渡し無表情で歩いてくる。 一人一人見定めているのか、なんか嫌だ。
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