第一章.プロローグ―道―

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 ――若干寒さの残る、三月上旬。  春は出会いと別れの季節、と、連日卒業スペシャルたるものがテレビで流されている。  そんな卒業や別れの余韻も、 「是非、うちの高校に入学してくれませんか?!」 「無理ですって!」 この男達には関係なかった。 「入谷(いりや)君、君の打撃力が必要なんだよ」 「だから、東京なんて行けませんよ。僕はお母さんのことも心配ですし、茨城からでることはありません」  入谷、と呼ばれた少年、入谷 和晶(かずあき)は、校門前でかなり戸惑っていた。  と、いうのも、ここ最近ひどく高校からスカウトの人がやってくるのだ。  今のところ、北海道から大阪、兵庫からスカウトの人が連日尋ねてくる。
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