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ヤト&カゼルフォン+α
カゼルフォンが一人木陰に佇んでいると、パタパタと走りよってきて背中にぴったりとくっついてくるモノがあった。
彼は後ろも振り向かず、そのモノの名前を呼ぶ。
「ヤト? どうしました?」
柔らかく名前を呼ばれたモノ、ヤトはぴったりとカゼルフォンに体をつけたままで頭をフルフルと横に振った。
「ううん…何でもない、です」
「ではどうして私の後ろに隠れているんでしょうね?くるくるのウサギさんは」
からかうような色を滲ませた声で優しく問いかけるカゼルフォン。
それに対してヤトは、
「ウサギじゃないです…」
と抗議をしながらも、カゼルフォンから離れようとはしない。
「ウサギさんでしょう? 何にもないのに寂しくなって私の後ろにくっついているんですから」
「…やっぱり、ウサギでいいです」
からかっても離れず、むしろ力を込めるヤトに苦笑がもれる。
――この信頼を裏切ったら…あぁ、ゾクゾクする
「じゃあ寂しいウサギさんと遊んであげましょうか」
カゼルフォンは後ろにくっついているヤトの腕をつかまえると、その腕を素早く引いて前で抱きしめた。
そのまま膝の上に抱きこむようにして座る、が、ヤトも抵抗をしようとしない。
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