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「……」
「……」
「……ファミレス?」
「……うん。多分先輩たち全員ファミレスにいる」
「……ブロッコリー症候群なのに?」
「……ブロッコリー症候群なのに」
山本と木村は微妙な空気を共有していた。
「……でも、ま、そういうことならさ」
山本は目安箱の下を探って鍵を取り出す。
「僕たちもテキトーに終わらせてさっさと帰ろうか。先輩たちだって遊んでるんだから」
「そ、そうだね」
山本が鍵を外してドアを開けると、籠った熱気が全身を包んだ。
「あっつ……」
鞄を机に放り出して、グラウンドに面する窓を開けた。
涼しい風と野球部の掛け声が同時に窓から入り込む。
「仕事って何かな?」
山本の後に続いて入った木村が長机の上を見回す。
「……多分会長の机の上にあると……あ、あったこれだ」
ご丁寧に8月13日〆切と書かれた書類を手にとり、山本は適当にパイプ椅子をひいて腰掛ける。木村は長机を隔てた向かいに座る。
「どんな仕事なの?」
「えぇーっと……」
山本は書類に目を通す。
『※重要※
生徒会長殿
・学校新聞掲載の短編小説の〆切は8月13日です。早急に新聞部まで』
「……なんだこれ?」
木村が身を乗り出して書類を覗きこむ。
「……小説?」
「……そうみたいだ。どういうこと?」
木村も細い眉根を寄せて考え込む。
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