一対の巨影

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フレアが取り出したもの、それは防具だった。 リオレウスの素材でできた真紅の防具、もちろんすべての部位がそろっている。 リオレウスの甲殻と鱗を組み合わせて作った防具で、見た目は肩当ての部分に棘のついた甲殻をそのままつかっているのでとげとげしているという印象を受ける。 隙間なく防具が体を覆うつくりだが、間接の可動域の部分は薄く、さらに動きの邪魔をしないつくりになっている。 それにより武器が振りやすくなり、若干ではあるが攻撃力が上がる仕組みだ。 見ているだけで素晴らしいとわかる。精巧なつくりで、鱗の一枚一枚にまでこだわりを持っていることがわかる。 「……ねぇ、これどうしたの?」 たしかに素晴らしい防具だけど……何で僕に? 「えっとね……、シン君の防具が壊れたって聞いたから、日ごろの……お礼にと……あ、あのさ……迷惑だった?」 そう心配そうに腕にリオレウスの胴部分の防具を抱えながら見つめてくる。 「い、いや……メーワクとかじゃなくてね……悪いな~って。」 さすがに何もないのにいきなり防具一式を受け取るのは気が引ける。しかも、こんな素晴らしいのを。
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