その理由。

2/3
前へ
/30ページ
次へ
それは、いつもの喧嘩だった。 オイラと旦那の芸術観の相違から来る喧嘩。 両者が相手に認められようと必死の口論。 「アンタは本当の芸術ってもんを解っちゃいない!」 「その言葉、そっくりそのまま返してやる。  あんな爆発に芸術気取られてたらコッチが迷惑だ」 「ンだとコラァァ!!」 週に1度は必ず喧嘩する。 それにオイラも、恐らく旦那も慣れていた。 腹立たしいハズなのに、妙に楽しくて。 理由はわからない。けど それはオイラの、確かな感覚 「お前のそれは芸術とは呼べない」 「オイラのは崇高な芸術だ!  人形遊びとはワケが違う・・・うん!」 「図画工作やってるお前に言われたくは無いな」 どれだけ酷く言われても、心のどこかで楽しいと感じていた。 それは今も同じ気持だった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加